かばんの型紙を作ったキッカケをお話しします。

お父さんの営んでいる かばんメーカーに入ってからスグに内職まわりをさせられました。
それが慣れたくらいに仕入れ先まわりをして、次に得意先まわりをしました。

得意先まわりをするくらいですから営業職のようですが、
実質は配達の兄ちゃんみたいな感じでした。
得意先からのかばんの依頼は、
私が聞いてお父さんがかばんのサンプルを仕上げていました。

ガキの使いですね……

ですが、
その得意先とお父さんの間で不満がありました。
得意先の指示通りにサンプルが仕上らないんです?

今思えば私の指示が悪いんだと思いますが、
指示通りにサンプルが仕上がらないと私は話を聞いてないのと同じになるんです。

こんなに思い通りにならないなら『自分ではじめよう』って思って
ソレから型紙を作る事になりましたとさ………

はじめて手掛けた型紙は一週間もかけたのに、
かばんに仕上がりませんでした。

ココから型紙の謎を少しずつ解いていく事がはじまりました。

25歳だったかな………

中村保義