「他人が作った鞄をバラして作り方を見るなんて最低の職人のやる事や!」

バッグメーカーのあと取りだった私は、
駆け出しの頃にお父さんに言われていました。

そんなことを上から言われたって、
早く色々な作り方を知りたかったし、
まわりの職人さんに質問してもまともな答えが返ってくるなんて殆どなかったので、
バラしたり、それを組み立てたりしながら型紙や作り方を覚えていきました。

バラす作業は、
作っていく工程の真逆からほどいていかないとキレイに出来ないので、
工程を勉強するのにはとても良いですし、
キレイにバラせば型も分かりやすいカタチで残るので型紙の勉強になります。

私はバラして多くを得ましたので有効だと思いますが、
バラす事に批判的なお父さんの言う事で、
たま〜に 納得した事がありました…

「そんなモン(鞄)、バラさんと自分のやり方で作るもんヤ!」

そう…
結局は『自分のやり方』なんですけどね。
中村保義