かばん作りの技術を習得するつもりでいてるのに、

来る日も来る日も『糊付け機』に向かって

ひたすらゴム糊を塗り続けていたのでは何も覚えられない

なんて思っていませんか?

ゴム糊を塗り続けているだけではありません、

糸切りもそうです。

運動会の万国旗のように連なったパーツの糸切りばかりしてもなにも覚えられない

下仕事は他にもありますが

何れにしても慣れれば手が覚えて
ある程度、
よそ見をしながらでも出来るんですね
 。
この『よそ見』なんですが
何処を『よそ見』するかが重要で、
まわりの人の動き、仕事の流れを
この作業の中で見て覚えていくのです
 。
材料が入ってきたな、
パーツ毎に色々な人に振り分けているな、
どのパーツが真っ先に自分のトコロにくるのかな、
自分の仕上げた仕事は次に誰のトコロにいくのかな、
あんな風にミシンがけをするんだな、
ミシンの交換パーツはあの引き出しだな、
ミシンの下糸のなくなると音が変わるんだな、
下糸のなくなりかけにも音の変化があるんだな、
荷造り紐はあんな風に結ぶんだな
などなど、
色々な事をシュミレーション出来ます
ですから時々くるチャンス
「ちょっとココだけミシンがけをしてくれ」
に対応しやすくなるのです
 。
ですから下仕事ばかりさせられて、
誰も自分の事を見てくれないと思うのは
大方は間違えかと思うんですね
 。
まわりの先輩たちは、
新人を見るまでもなく
仕事のリズムを聞けば
どの程度はかどっているのかが分かっています
 。
糸切りで例えると、
小バサミの音が一定間隔で聞こえますよね。
それで作業が早いか遅いが判断できます。
早くなっても気づきますし、
手が止まっていても気付きます。
一定間隔で聞こえてくるのが当たり前のところに
一定じゃない間隔で聞こえれば
変じゃないですか、気持ち悪く感じますよね
 。
例えが遠くなりますが、
木魚の音が一定間隔で聞こえてくるのは普通ですが
不安定なリズムで聞こえると
気持ち悪く感じませんか
 。
そんな感じで
この仕事は手を動かしながら
耳から色んな情報を入れてるんですね。