【はじめに】

以前、メルマガでご紹介した「光雄くん」の話を、
今回あらためて再投稿させていただくことにしました。
というのも最近、
私は「ChatGPT」という強力な味方を手に入れまして。
理系の人間としては、文章を書くのが苦手だったんですが
このAIと相談しながら書き直すと、
本当に言いたかったことが形になるんです。
今回の投稿も、
以前の文章をもとに、
ChatGPTと何度かやり取りをしながら整えました。
もちろん、
最後は自分の言葉で微調整して投稿していますので、
全部がAI任せというわけではありません。
ただ、少しでも「伝わるもの」になればと思いまして
あらためてお届けいたします。
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工業用ミシンが全開で動いている音、聞いたことありますか?
あれはもう、音というより“地響き”みたいな振動です。
ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……ッ。
スマホのマナーモードが「ブッブ…ブッブ…」と震える感じ、
あれがずっと止まらず続いてるようなもの。
しかもその音が、とんでもなく大きい。
その揺れ、なんと建物の外にいても伝わってきます。
だから、カバンを引き取りに行って玄関が静かだと、
「あ、光雄くん、また喫茶店やな」とすぐわかるんです。
光雄くんとは、1年ほどの付き合いです。
彼は少し理屈っぽい30代の鞄職人さんで、
話すときも逃げ道を作るタイプなんです。
納期を聞いても「3日〜5日くらいかなぁ」と
私が年下だからかいつも適当な感じなので、
「いや、3日と5日じゃ全然ちゃうヤン」と、
私が詰めるのがパターンでした。
彼の工場は、自宅の1階。
私はカバンメーカーとして、型紙どおりに裁断した材料を彼に渡し、
仕立てをお願いするという関係です。
「まいど〜」と声をかけて玄関を開けると、すぐに仕事場。
目の前には仕上がったカバンが束になって積まれていて、
その奥にミシンが2台並んでいます。
そして今日も、光雄くんの長男・光司くん(当時3歳)がいました。
ミシン台の“足”に、しっかり紐でくくられていました。
初めて見たときはさすがに「虐待」を疑いましたが、
聞けば光司くん、とにかく元気で。
家の中を走り回るどころか、
ベランダから屋根に出て、そこを滑り台にして遊ぶほどのヤンチャぶり。
重たいミシンにくくりつけておけば、さすがに自由には動けない。
それが、光雄くんなりの“育児”だったんのかと思います。
「こうちゃん〜」と声をかけると、
足元の紙切れを拾って、ニコニコしながら見せてくれました。
ハサミを持たせておくと、
紙や革をずっと切って遊んでいるらしく、
多少ヒヤヒヤするけど、
それが一番大人しくなる方法だったそうです。
この年の翌年からは、保育園に通う予定だったそうです。
そんなこんなで、光雄くんが喫茶店から戻ってきて、
一緒にカバンを車に積み込み、
次の納品予定を確認して、私は工場をあとにしました。